祭りの熱気が少しずつ落ち着いていく夕方
教室には片付けの音と
疲れた笑い声が響いてた
「はいこれ、怜 運んでー」
「おう」
昼間よりも
美奈との距離は さらに微妙になってた
別に避けようとしてるわけじゃない
でも
自然と目を合わせる機会が減ってた
「あとは机戻して終わりかな」
美奈の声が聞こえた
その声に反応しそうになったけど
なんとなく背を向けて黙々と作業を続けた
「怜…」
気づけば美奈が
少しだけ距離を詰めてきてた
「…何」
「…今日…なんか、ずっと冷たくない?」
その言葉に
一瞬、手が止まった
「別に。普通だろ」
「普通じゃないよ…」
美奈は
いつもより少しだけ強く俺を見つめてきた
「何か怒ってるなら言ってよ」
「怒ってねぇ」
「じゃあ何…」
言えねぇよ
“ほんの少しだけ”の一言が
ずっと胸に残ってるなんて
「……別に、何でもねぇって」
俺は視線を逸らした
教室の中は、二人の間だけ
妙に静かだった
「怜さ」
美奈が
小さく、でも絞り出すように言った
「…私、何かした?」
その言葉に
胸がズキッと刺さる
「してねぇよ」
低く呟くと
美奈もゆっくり俯いた
窓の外はすっかり暗くなってた
遠くからは
他のクラスの笑い声と、打ち上げの準備する声が聞こえてくる
だけど
俺たちの周りだけは
静かすぎた
このまま
言わなきゃいいのはわかってる
でも――
“…もう少しだけ この距離が広がったら きっと限界になる”
そんなギリギリのラインを
今 俺は踏みとどまってた
「…ほら、早く机戻せよ」
絞り出すように軽く言って
また黙々と作業に戻った
美奈は小さく「…うん」とだけ返して
隣で静かに机を動かし始めた
互いに何も言わず
でも何も考えてないわけでもなく
文化祭の夜は
じわじわと二人の距離を試すみたいに
静かに深まっていった
教室には片付けの音と
疲れた笑い声が響いてた
「はいこれ、怜 運んでー」
「おう」
昼間よりも
美奈との距離は さらに微妙になってた
別に避けようとしてるわけじゃない
でも
自然と目を合わせる機会が減ってた
「あとは机戻して終わりかな」
美奈の声が聞こえた
その声に反応しそうになったけど
なんとなく背を向けて黙々と作業を続けた
「怜…」
気づけば美奈が
少しだけ距離を詰めてきてた
「…何」
「…今日…なんか、ずっと冷たくない?」
その言葉に
一瞬、手が止まった
「別に。普通だろ」
「普通じゃないよ…」
美奈は
いつもより少しだけ強く俺を見つめてきた
「何か怒ってるなら言ってよ」
「怒ってねぇ」
「じゃあ何…」
言えねぇよ
“ほんの少しだけ”の一言が
ずっと胸に残ってるなんて
「……別に、何でもねぇって」
俺は視線を逸らした
教室の中は、二人の間だけ
妙に静かだった
「怜さ」
美奈が
小さく、でも絞り出すように言った
「…私、何かした?」
その言葉に
胸がズキッと刺さる
「してねぇよ」
低く呟くと
美奈もゆっくり俯いた
窓の外はすっかり暗くなってた
遠くからは
他のクラスの笑い声と、打ち上げの準備する声が聞こえてくる
だけど
俺たちの周りだけは
静かすぎた
このまま
言わなきゃいいのはわかってる
でも――
“…もう少しだけ この距離が広がったら きっと限界になる”
そんなギリギリのラインを
今 俺は踏みとどまってた
「…ほら、早く机戻せよ」
絞り出すように軽く言って
また黙々と作業に戻った
美奈は小さく「…うん」とだけ返して
隣で静かに机を動かし始めた
互いに何も言わず
でも何も考えてないわけでもなく
文化祭の夜は
じわじわと二人の距離を試すみたいに
静かに深まっていった



