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その夜
家に帰っても凛の頭はずっとモヤモヤしていた
(あの駄菓子屋…)
(取り合い…)
(譲ってくれてた男の子…)
(まさか 凪が…?)
(いや でも…)
どうにも落ち着かなくて
思わずクローゼットの奥から古い段ボール箱を引っ張り出した
そこには幼稚園〜小学校低学年の頃のアルバムが詰まっていた
パラパラとページをめくる
砂場で遊んでる写真
ブランコの写真
運動会の写真…
「…これ…」
小さな写真の中に
見覚えのないはずの男の子が何枚も映っていた
いや
正しくは
「ずっと忘れてただけ」
だった
短めの黒髪で
イタズラっぽい笑顔を浮かべた男の子
凛の肩にぴったり寄り添って
笑いながらピースしてる写真
写真の下に 両親が書いた小さな文字が残っていた
【りんと なぎくん】
ドクンと心臓が跳ねる
「な…ぎ…?」
まさかじゃない
“なぎ”って
凪ーー
(本当に…)
(あの頃のあの子が…凪だったの…?)
一気に頭の中で
今までバラバラだった記憶のピースが繋がり始めた
あの駄菓子屋
あの公園
お嫁さんになるって言ってた言葉
全部 凪だった
思わずスマホを手に取る
でも何も打てない
指が震えて止まる
(明日…聞こう)
(ちゃんと…確かめたい)
胸がザワザワと苦しくなりながら
布団に潜り込んだ
でも心臓はバクバクと暴れて全然眠れなかった
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