「光莉〜この後一回帰ってから、お昼ご飯でも食べに行かないー?」


午前で終業式が終わったため帰る支度をしていると、寧々がポニーテールを揺らしながら後ろから抱きついてきた。


「あー…ごめん!今日はこの後ちょっと予定があって…」

「ええー!それなら仕方ないかぁ…。じゃあ夏休みたくさん遊ぼうね。海にプールに花火大会にバーベキューとかも!たくさん夏休み計画したんだから全部叶えよ!」

「…うん」


寧々に笑顔で頷きながら、なんで光瑠のお願いを聞き入れてしまったんだろうと少し後悔する。


光瑠曰く、外出許可を取ればこっちにだって帰ってこられるけど光瑠の場合は退学寸前のため目をつけられているから、頻繁に外出許可をもらうのは難しいらしい。

それに毎日のように補習+テストを受けないといけないんだからそんな時間すらあるのか危うい。

寧々には申し訳ないけど、きっと計画しているうちの半分以下しか叶えられない気がするけど後で事情を説明するとしよう。


問題は、早速今日からお忍びで光瑠のフリをして光瑠の学校に行かなきゃいけないということ。

しかも光瑠のフリをするということは、もちろん男として振る舞わないといけないし、むさくるしい男子寮で過ごさなければならないのだ。

男子といえば、意地悪をしてくるか馬鹿騒ぎをして周りに迷惑をかけるかの幼稚な生き物で、そんな人たちと一ヶ月もひとつ屋根の下で過ごさないといけないなんて…。

男子寮の中でも部屋は何人かで分けられていて、光瑠の部屋は五人部屋となっているため四人の男子と同じ部屋で暮らさないといけない。

そんなの考えただけで吐きそうだ。


「ある程度の物は持ってきたな?あ、言い忘れてたんだけど、俺の学校夏休みもイベント盛りだくさんだからきっと光莉も楽しめると思うよ。じゃ、一ヶ月間頑張ってこいよな」