「とか言って、カンニングとかしてるんじゃねぇだろうなー?恋苺ってなーんか小テストの点数にムラがあるっていうか、この前は全問不正解だったくせに今回は満点とかなんか怪しいんだよ」


隣の席の相澤宏樹(あいざわひろき)が頬杖をつきながら訝しげな視線を向けてきて、思わずぎくりとしてしまう。


「や、やだなぁー。カンニングって不正行為なんだよ?そんなのこの私がするとでも思う?」

「まあしそうではあるだろ」

「ひどい!ちゃんと正々堂々と解いたし!たまたま勘が当たっただけ」

「そうそう。光莉ってなぜか昔から勘だけは良くってさ。うらやましい才能だよね〜」

「たまたまだって」


寧々に愛想笑いを返しながら、内心では冷や汗が止まらなかった。

そう、私、恋苺光莉はなぜか昔からやたら勘が冴えていて、こっちの道は通らない方がいいと思った道で通り魔事件が起きたり、なんとなく明日は雨が降るだろうなと思ったら土砂降りの豪雨となったりと私の勘が外れたことはない。

昔はこの勘の良さに得をしている気分もあったが、小学生の時に気味悪がられた経験があり、その時からなんとなく私は他の人とは違うんだということに気づき、この力を隠すようになった。

だけど調整を誤ることが多く、テストとかは勉強をしなくても勘で解けちゃうこともあってたまに満点を取ってしまう。

決して私が学年一位を取れるほどの天才なわけでもない。

この力で取った満点は果たして実力で取ったものだと言えるのかな…?



家に帰りながら、近づく度になんとなく嫌な予感が強くなっていく。