「当たり前でしょ。光莉ちゃんに言われなくても、俺はクラッシュのみんなと世界で一番のアイドルになるんだからね」


むにっと頬を軽く引っ張られ、笑いながら頷く。


「清春は清春のペースで、女嫌いも潔癖症も治していけばいいと思う。辛いはずの過去の話を私にしてくれてありがとう」

「…過去のトラウマはそう簡単に消えない。だから恋苺ももしもまた、負の感情に押しつぶされそうになったら、その時はこれを見て思い出せ。おまえは幸せになるべき人間なんだって」


清春が私が取った四葉のクローバーが入った、清春とお揃いの透明なしおりを手渡してきた。


「え…これ、清春が作ってくれたの?」

「自分で掴み取った幸せなんだから、自分で持ってろ。あと、恋苺は平気で危険に突っ込むやつだけど、いつか大怪我するなよ」


ぎゅっとしおりの上から手を握られて、ふふっと思わず笑顔になりながら大きく頷く。


「ありがとう、大切にする」


ふと、ポケットに入れていたスマホが震え確認すると、光瑠から“校門の前に着いた”とメッセージが届いていた。


「じゃあ…行くね」

「…やっぱり、慧也も呼んでくる。最後だっていうのにあいつ薄情すぎるだろ」