昔から人よりは少し勘がいい。

ただそれだけの、普通の女の子だった–––。



「この前やった小テスト返すぞー」


英語の授業が始まって早々、先日行われた小テストが先生から返されていき、クラスメイトたちは口々に騒ぎ始めた。


「今回のテスト、応用ばっかでむずかったんだよなー」

「うわ、勘でやった問題全部ミスってんだけど!」


私の番になり教壇に向かうと、英語の先生がにこっと笑みを向けてきた。


「この学年で満点は恋苺(こいむら)だけだったぞ。よく頑張ったな」


ざわっと一層騒がしくなるクラスメイトに、しまったと思いながらもお礼を言いながら答案用紙を受け取る。


光莉(ひかり)!また満点取ったの!?毎日居眠りしてるくせに、実はちゃんと家で勉強してるんだね〜」


前の席の小学校からの親友である神崎寧々(かんざきねね)がくるくるのポニーテールを揺らしながら振り返ってきて、パッと笑顔を作って「まあね!」と返す。


「こう見えて私、実はコツコツと努力をするタイプなんです」