「こんなとこにいたか…なんてな、隣座るぞ」

花火があがり始めてすぐの頃隣からあまりにも聞きなれた

紫音の声が聞こえてきた

「どうしたの?体力ないくせにこんなとこまで登ってきて」

正直嫌味半分、せっかく1人でこの景色を独り占め出来るかと思ったのに

「まあ、お前が売店に行かずに登ってくのが見えたからな、そんなに気まずいか?」

ただそんな事を無視して紫音はとんでもないことを言い始める

「気まずいってなんでよ?、気まずいで言うなら男子1人の白木くんの方が」

そう言いかけた所で裏の茂みでガサっと音がした

「虫とかだろ、夏だし、山だしな、私が言ってるのはその白木に対して恋人の振りを強要してるのがどっかで心苦しくなってるんじゃないか?って話だ、白木に対しても、赤嶺に対しても」

だけどそんな事を丸で意に介さずにズケズケと踏み込んでくる

紫音のこういう所は嫌いじゃない

変に上辺だけのやり取りをするよりは楽な時もある

だけど

「そりゃさ、罪悪感はあるよ、私だって人の子だしね、でもさ、私にも色々あるんだよ」

紫音のこの性格は時に鋭利に突き刺さる

「私から言わせればその色々もクソみたいなものだけどな、強がって上辺を取り繕うのが得意なのは私には無いお前のいい所だから羨ましくもあるけどな」

そう言って笑う紫音はらしくない

らしくないついでに

「ねえ、紫音さ、恋ってなんだと思う?」

私もらしくない質問をしてみた