「えっと…?」

声を聞いても姿を見てもこの人が誰なのかは分からない

でも間違いなく白木さんとこのりょーくんが俺を指してるのは分かった

「あれ?もしかしたら人違いかしら?小さい時よくチハちゃんとそこで絵を描いてた子にそっくりだったから、おばさんも歳かしらね…」

なんて言いながら小さな子供用のテーブルを指さして笑うおばさん

覚えてないだけなんだとは思う

微かにある誰か女の子と絵を描いていた記憶

ずっと保育園か何かだと思っていた

そして、この人の言っているのが俺だとしたら

「あのね、おばさん、えっと、白木くんは、うーん、なんて言うか…」

困ったように言葉を探す赤嶺さん

いつも俺に笑いかけてくれた赤嶺さんと俺は昔から、ずっと昔から会っていた事になる

思い出したようなそうじゃないようなそんな感覚の中で

「そういえばいつもこんな時間だったかしらね2人が来てたのも、ちょうど夕陽が綺麗なこの時間」

そんな俺の背中を押すかのように

日が沈んで夕焼けが辺りをオレンジに染め始めた