彼が転校してきた日

教室に入ってきて顔を見た瞬間に気が付いた

間違いなくりょーくんだと

自己紹介で元々こっちにいたと言った時にそれは確信へと変わった

だけど彼はこの街にいた頃のことをほとんど覚えていない

そうとも言った

だから、あの頃みたいにりょーくんって呼ぶのを我慢している

もし、仮に、99パーセント同一人物だけど、仮に違った場合ものすごく恥ずかしいから

だけど私は約12年もの間りょーくんとの再会を待ちわびてきた

彼が引越しをする前日

星ヶ丘テラスで誓った

また一緒に絵を描こうという幼いながらの約束

それを守るために小学校では美術部がなかったから放課後に1人で絵を描くことが多かった

中学、高校では美術部に入った

彼とした約束をいつか守る為に

だと言うのにだ

彼は約束のことも、私のことも覚えていない