「決めた!じゃあ、次は胡兎ちゃん!」
再びカメラがこちらに向けられたのを確認すると、宮敷さんはすぐ側にいる私から胡兎の方に姿勢を変え、声を張り上げる。
胡兎については、バラエティの番組に出ているし、物怖じせずに初対面の人にもどんどん自分から話しかけられるタイプだから、ここは多分、問題は無いと思っていた。
ところが……。
ゲスト席の一番右に座っていた胡兎。
そこは私と宮敷さんがいるМCの立ち位置から一番遠くにあたる場所である為、ここからはちょっと見辛い。
私はさりげに体勢を斜めに傾け、覗き込むようにその姿を確認する。
すると、両手を膝の上で握りしめ、唇をギュッと閉じ、顔を強張らせ、ただゲスト席の小さなテーブルの上に置かれたドリンクのグラス、その一点をずっと凝視している。
