「って、話してたら来たよ。鳳くん!」
っ!?
「え、あ本当だ.....!」
今の会話聞かれてないよね.....?
「てかさ。隣、どんな感じ?」
「えっ」
本人が来たからもうレンくんのことは話さないのかと思いきや.....まだ話すのか。
「どうって.....別に何も」
「えー。例えばほら.....雰囲気とか、声が良いとか.....ってそうだ、学校案内もしたんでしょ?」
「う、うん。あ、ほら本人来たから。聞こえちゃうよ.....!」
もうこれ以上は話させないようにしないと。
つい本当のことを言ってしまいそうで怖い。.....私って嘘つくの下手だからなぁ。
私は心の中でそう誓ったのであった。
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昼休み。
いつも通り美穂とお弁当を食べようと思っていた時、背後から低く聞き慣れた声が聞こえた。
「.....柊」
後ろを振り返るとそこにはレンくんが立っていた。
っ!!
「えっ!?.....あ、な、なんでしょうか」
もう心臓に悪いよぉ.....
「.....ちょっと話があるから来い」
やば、動揺しすぎたら美穂に怪しまれちゃう。
っていうか、話って.....?
「結花、ぼーっとしないで行ってきたら.....?」
「え、あ、うん.....!」
ドキドキ。
私はレンくんについて行き、着いた場所は.....誰もいない多目的室だった。
何だろう.....まさか怒られるとか?いやでも何もしてないし。
あ、誰かに言ってないか確認とかかも!.....と思っていた時、ずっと無言だったレンくんが口を開いた。
「柊」
「っはい」
二人っきりということは初めてじゃないが、緊張で声が裏返る。
彼は、昨日とは違い真剣な表情をしていた。
だが、彼の口から出たのは―――
「俺の婚約者になってくれないか」
予想外の言葉だった。


