ー Front and back ー

どうしたんだろう.....?


「.....まあとにかく....誰かに言うなよ」


「うん、もちろん.....!」


そんなの当たり前だよ。


「あと、絶対に‪”‬レンくん‪”‬って呼ぶな。分かったか?.....学校中の人にバレたらやばいことになる」


私は何度も首を縦に降った。


気を付けないとな..... 。


ていうか、何で今までの人には噂を広められなかったんだろ.....?


あ、脅したとかかな。多分。


暴走族入ってるんだしね。


.....てかこんな普通に推しと話してるとかありえない。


何回も夢かなって思っちゃうよ。


ライブとか行っても目さえも合わなかったのに。


あ、そういえば.....


「あ、あの.....」


「.....何?」


「学校案内どうします?」


場所とか分かるなら、別に良いんだけど。


「.....あんま分かんないから、頼む」


「.....え」


予想外の返事だ。


てっきり、分からなくても「めんどくさいから断る」って言うと思ったのに。

表のレンくんでも、そういうとこあるから。


「じゃあ、まずここはーーー」


レンくんに迷惑かけないように、分かりやすく教えないと。



****


次の日。


学校に行くと、まだレンくんは来ていなかった。


まあ朝学校行ったらレンくんがいるとか、心臓に悪すぎるからいなくて良かったんだけど。


今日も来るのかぁ.....もう既にドキドキしてるよ。


.....と色々考えていると、美穂が来た。


「美穂おはよう!」


「あ、おはよ。結花」


そっか.....美穂にも、レンくんのこと言っちゃダメなのか.....って当たり前だけど。


「ねぇ、私思うんだけどさ。転入生ってマスク外したらイケメンっぽくない?」

「.....っ」


美穂にそう言われ、ドキッとした。


いやでも、美穂はレンくんの顔は知らないし、大丈夫か。うん。


「そ、そうなのかな.....あ、逆マスク詐欺みたいな?」


「えーやっぱ結花もそう思うよね!?」


「ど、どうだろうね。あはは.....」


イケメンなのは事実だし、これ以上私は何も言えない。