ー Front and back ー



だから、なんで授業受けてなくてもわかるんだろう.....って思っちゃう。名前は「飛鷹 紫音(ひだか しおん)
っていうらしい。

.....ん?そういえば。


「なんで私が2位のこと知ってるの.....?」


知ってくれてるのはまじで嬉しいけど.....順位表が出されるのって、期末が終わった後1〜2週間で消えるのに。


「.....たまたま、話してる奴がいた」


.....なるほど。


「そ、そっか」


「じゃあ.....挨拶しに行くか」


「は、はい.....」


うぅ、レンくんの為ならがんばらないと。


お家の中に入ってみると、きちんと整頓されていてとても綺麗だった。


そして、レンくんの両親がいるらしき部屋の前の襖に立ち、「開けるぞ」と小声で私の耳にささいてきた。


うっ.....み、耳が焼ける(?)


レンくんが襖に手をかけ、スっと開けた。


.....そこには、30代前半くらいの綺麗な女の人と、とてもお父様には見えないくらい若い男の人がいた。


え、本当にレンくんの親なの.....?


と思っていた時、お母様らしき人が、口を開いた。


「まあ.....!蓮ちゃんったら、こんな天使みたいな子連れてきちゃって」


ん?天使.....?


私はキョロキョロと周りを見渡した。


「こんなに綺麗な女性を連れてくるとは.....お前も成長したんだな」


続いて、お父様も話し始めた。


「へ.....」


そ、そんな綺麗だなんて.....お世辞を言うのが上手なのかな。


「おい.....余計なこと言うな。結花が困るだろ」


「.....っ!?」


い、今、名前.....!?


もう心臓もたないかも...... 。


ていうか、私も"蓮翔"って呼ばないといけないんだよね.....やばい、絶対噛んじゃう。


「まあいいじゃな〜い。でも、まさか蓮ちゃんが婚約者を連れてくるなんて.....!」


「思ってもみなかったな」


「え.....」


て、ていうことは.....レンくん、今まで一回も婚約者を連れて来たことがないのかな.....?


こんなにかっこいいから少なくとも2人は居たのかな.....なんて、勝手にどんな人とか妄想しちゃってたのに。


.....まあでも、歌い手なんだし色々大変だよね..... 。


「名前はなんて言うの〜?」


「えっ.....あ」


突然の問いかけに少し驚いた。


「柊、結花と申します。えっと.....ほ、本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございます」


緊張でつい早口になってしまった。