ー Front and back ー



見た目大丈夫かな..... 。


なんとかメイクは終わらせられたけど..... 。


私は今学校の裏門にいる。


レンくんは先程、ラインで「悪い。遅れるかも」と来ていた。


準備とか、いろいろ大変なんだなぁ.....多分。


と思っていた時、遠くから人影が見えた。


.....あれはレンくんだ。骨格でわかる。


「レンく.....じゃなくて、鳳くん!」


危ない危ない。


「遅れて悪い」


「いや、全然大丈夫です」


遅れたって言っても5分くらいだし。


ていうか、緊張で手が震えてるよ..... 。


「.....緊張してるのか?」


「う、うん.....」


心臓もバクバクしてる。


「俺の両親は意外と単純だから.....多分大丈夫だと思う」


た、多分って本当かな.....?


追い出されたりしたら..... 。


「.....あと」


.....?


「今日は下の名前で呼んでほしい。.....婚約者なのに、名字は変だろ?」


あ、確かに.....でも。


「.....し、下の名前で呼ぶのも呼ばれるのもやばすぎる」


自分にしか聞こえないくらいの声で呟いた。


「.....ん?なんか言ったか?」


「な、なんでも.....!」


てかもう普通に話してるの自体がもうおかしいんだけどね。


それからはずっと長い沈黙が続いていた。


「.....ここが、俺の家」


「え」


想像してたのはもっとこう.....シンプルなお家だとも思っていたが.....少し。いや、結構派手な和風の家だった。


そして何より.....


「で、デカすぎない!?」


やばい、つい大きな声を出してしまった。


「.....そうか?別に普通だと思うが」


っ!?


これが普通なの!?


「へ.....え?」


「まあでも、ここまで派手にする家はあんまりないよな.....なんで俺の親戚は全員、派手なものが好きなんだ」


私、今からこの中に入るわけ?


しかも推しの実家だよ??え??


む、むりぃ..... 。


「大丈夫。普通に挨拶すれば良いだけだから」


「はい.....うぅ」


できるだけ迷惑かけないようにしないと。


「あと、学力とかは聞かれるかもな.....」


「ええっ.....!?」


そ、そんな.....!


「でもお前、学年でトップ2に入ってたから大丈夫だろ」


そ、それはそうだけど..... 。


次の期末は絶対1位になりたいな.....!


てか、1位の人ってどんな人なんだろ..... 。


今まで1回も学校来てるの見た事ないんだよね。