名前も知らない貴方とだから恋に落ちたい







「あなたは?」


「俺は…。付き合ったことないんだよね」


「それは、冗談?」


「いやいや、冗談じゃないよ。本当の話」





嘘だ。

こんなに面白くて楽しい人、彼女がいなかったわけない。



彼女がいたらいたで、どんな人なんだろうって気になって、昔の彼女に嫉妬したりなんかするんだろうけど。





「作らなかったってわけじゃないけど、気づいたらこの歳になってた」


「ふーん…。さすがに告白はされたよね?」


「それもないよ。俺のこと、甘く見過ぎ。モテる顔してないでしょ」





いや。ウケる人にはウケる顔をしている。


濃いめの日本人離れしている顔で、キリッとしていて、私はカッコいいと思う。




首を横に振ると、〝嘘だ。目腐ってるよ〟と謙遜された。





「目は悪いから、そういう意味では腐ってるけど、人を見る目は腐ってない」


「君は俺に惚れてるから、そう言うんだよ」





運転しながら突然伸びてきた手が、頭の上に乗って髪の毛をくしゃくしゃにされた。




…それは否定できない。


あなたに惚れているから、そう思うのかも。