聞かれたから答えたけど、言わない方が良かったのかな。
でも今焦って訂正してもな。
「そんなの言われたら…。俺だってもっと君と居たいよ。…あ。車、乗ってく?自転車なら、後部座席に乗せられるし」
「え、それは…。私、県内じゃないし」
「俺も県内じゃないよ。山口から来てる」
「私、広島」
「じゃあ、乗ってけるじゃん。一緒に帰ろ」
言っても良かったみたい。
それに、私より強者だった。
車とはいえ、山口なんてここから何時間かかるんだろう。
「ほら、帰るよ。乗って、シンデレラ。魔法がとけちゃう」
私が自転車で何時間かかっていたか考えていると、おとぎ話のように話しかけられた。
シンデレラなんて格好でもないし、あんなに純粋な心も持っていない。
「シンデレラなら、もうとっくに魔法はとけてるよ。五時間前くらいに」
朝の五時。
魔法はとけたけど、車に乗ればまた魔法にかかれる。
「あれ、そうだっけ?魔法ってそんな夜中にとけるの?」
「そうだよ。良い子は、夜更かししないですから」
冗談ぽく、私たちの夜更かしを指摘すると、好青年も冗談ぽく私の目の前で片膝をついて、右手を差し出してきた。



