名前も知らない貴方とだから恋に落ちたい






ただ、水島コンビナートの夜景を見ながら肩をくっつけて、言葉は交わさずゆっくりと時間が流れた。




前にお勧めしてもらった夜景ピクニックも、今日は日が昇るまで堪能した。


何も持ってきていなかったので、おにぎりを一つ分けてもらい、一緒に食べる。





「ふりかけだけで、ごめんね」


「美味しい」





誰かと食べるだけで、そのご飯は美味しかった。



このまま空が明るくなりませんように。




そんな願いも叶わないけど、日の出も一緒に見て、目の前に広がる工業地帯は照明も消えて、ただの工場の集まりに変わった。





「帰らないと…」


「俺も。そろそろ帰らないと」





また寂しくなるな。


口には出さなかったけど、柵に寄りかかって隣に立つ、好青年の袖をキュッと引っ張った。



私の行動に気づいてこちらを見る好青年。





「ん?」


「…ううん」


「何(笑)寂しい?」


「寂しくない、わけじゃない」





〝何じゃそら(笑)〟と笑いながら、袖を掴む私の手を握られる。


握った私の手の甲を親指でなぞりながら、好青年の表情が段々と俯いて暗くなってきた。