ー放課後、下校中の道ー
夕日が差し込む帰り道
制服姿のまま、えれなと並んで歩いてた
「なあ」
えれなを見下ろしながら
胸ん中でずっと考えてたことを
やっと口にする
「進路とかまだ決めきれてないんだけどさ
お前と離れる未来だけは
ぜってえ避けたいって思ってる」
ポケットに突っ込んでた
クシャッと折れた進路表を取り出して
紙の端を少しだけ指で弄びながら続けた
「だから俺、多分...
進学先、お前に合わせにいく」
正直
少しだけ不安もあった
重いと思われたらどうしよう とか
勝手すぎたら嫌われんじゃねえか とか
「勝手なこと言ってるのは分かってるけど
別に夢とか未来とかって...
“お前と一緒にいる”ってだけで
俺は意味あると思ってんだよな」
夕日の逆光で、えれなの顔が少し眩しく見えた
でもその表情は──
一瞬驚いた顔から
すぐに、柔らかい微笑みに変わってた
「わたしもアオとは離れたくない」
「アオがそうしたいなら
わたしは応援するし
またそこでアオと一緒にいれるのも楽しみにしてる
アオが無理してないのならわたしは大賛成だよ?」
その微笑みに
思わず肩からスッと力が抜けるのを感じた
...やば
マジで今、お前のその顔だけで決めて良かったって思ってる
視線をそらさずに
そっとえれなの手を握る
「無理なんかしてねえよ
むしろ、お前が隣にいるって前提があるだけで
全部楽しくなる気しかしない」
そのまま指を絡めて
ゆっくり歩き出した
「...進学先も、将来も
お前と見ていく景色があるなら俺
どこにでも行ける」
少し前を歩いてから振り返り
わざといたずらっぽく笑って言ってやった
「...ただし、毎朝俺の隣で起きて
毎晩俺の声聞いて寝るのは
将来的に確定だからな」
軽く手を引いて、えれなを自分の胸元にトンと引き寄せる
「ちゃんと覚悟しとけよ
未来、全部一緒に歩くつもりだから」
その体温と距離が
俺の全部を、もう決定に変えてくれてた



