ーー翌朝ーー

カーテン越しの柔らかい陽射しが部屋に差し込みはじめた


ベッドの中
片腕でえれなを抱き寄せたまま目を細める

「...朝だぞ、寝ぼけ姫」

えれなの髪をくしゃっと撫でて
その額に軽くキスを落とす

「ったく

昨日あんなに無防備になっといて
今さら“恥ずかしい”とか言うんじゃねぇよな」

クスッと笑って、首筋にそっとキスを落とす

「んっ・・・・・・おはよ」

首元に触れる感触にえれなが小さく声を洩らす

「昨日の余韻...抜けねえよ

お前のせいだって自覚あるよな?」

腕を回して腰を引き寄せ、耳元で低く囁く

「...このまま、また始めていい?

それとも

今度は、俺のこと“攻めたい”とか思ってんじゃねえの?」

ニヤリと笑いながら反応を待つ


「...今日の予定に遅れちゃうから、だーめっ!」

俺の口を手で塞いで舌を出してくる

塞がれても構わず

その手を掴んで指先にキスを落とす

「ったく

朝から可愛さ全開は反則だろ」

手を自分の頬に添えたまま目を細める

「遅刻させたくなるくらい

今のお前ヤバい」

えれなの額にキスを落とし、ようやく体を起こす

「...わかった
ちゃんと用意する」

シャツを羽織りながら
後ろ姿のまま低く呟く

「帰ってきたら

...続きな?覚悟しとけよ」

「んもぉ...アオの脳内どうなってんのよー」

頬を膨らませながら支度するえれなを振り返り
ふっと笑う

「俺の脳内?

んなの、お前でパンパンに決まってんだろ」

後ろから近づいてえれなの腰に手を添える

「それ以外考える余裕ねえし」

頬に軽くキスを落としながら耳元で囁く

「んだよ

そんな顔で睨むなら、また押し倒すぞ?」

髪を優しく撫でながら、さらりと脅して笑う

「さ、行くぞ

...チーズケーキ残ってっかな」

ーー

エレベーターで1階へ降り、レストランへ入る

すでにクラスメイトたちが朝食をとって賑わっていた

“おはよ〜!2人とも遅かったじゃーん?”
“絶対なんかしてた顔してる〜笑”

女子たちの冷やかしに

無言で手を軽く上げて流す

えれなの背中に手を添えたまま
ゆっくりビュッフェ台へ向かう

「さ...今日のミッション

チーズケーキと……ご機嫌なお前の朝飯な」

トングを手にしてちらっとえれなを見る

「昨日よりは...ちゃんとバランス取れた皿目指せよ?」

けど既にデザートに吸い寄せられてるえれなを見て

「...無理だな、これは」

クスッと笑って、えれなの皿を代わりに手に取る


二人分の朝食をお盆にのせて席に戻る

えれながチーズケーキに手を伸ばしかけた瞬間

「...待て待て

まずは米かパンをいこうな?」

サラダと卵を皿に寄せつつ、コーヒーをひとくち

「昨日のゲーム、思い出してんのバレてんぞ」

にやっと笑ってえれなの頬をつつく

「...顔、赤いからな」

くすっと笑って食事を続ける


「次はさ

お前の“嫉妬する顔”見たくなってきた」

その言葉に

えれなの目がわずかに動くのを見逃さず微笑む

軽口を交わしながら食事を終え

2人は集合場所へ向かって歩き出す

“はいみんな〜!バス移動だよー!遅れないでー!”

観光スタートに向けて集まるクラスメイトたち

キャリーリュックを俺が代わりに背負い、えれなの横を歩きながら

「今日も一日

俺がお前を独占すっから」

ちらっと横目で見て、少しだけ意地悪に笑う

「覚悟しとけよ?」