数日後 放課後の教室

 

クラスの女子たちが集まって

わちゃわちゃ盛り上がってた


自然と話題は“卒業旅行”になってて

その輪の中から誰かが俺とえれなの方を見た

 

"えれなちゃんとアオくんも来てよね!カップル参加アリって感じで!っていうか絶対来て!"

 

ちらっと視線向けると、お前はちょっと照れながらも嬉しそうにしてた

俺は腕を組んで、そのやりとりを黙って見てたけど――

 

「なあ、えれな。どうする? 行くか?」

 

えれなが少し照れてんのがもう可愛すぎて

頬の内側噛んで笑いこらえた

 

「卒業旅行
アオとお泊まりってことだよね?

え...行っちゃおっかな?」

 

ちょっと照れながらも、嬉しそうに参加の意思を伝えてくる

 

「アオは?」

 

...その聞き方、反則すぎだろ

 

「行かねぇわけねぇだろ

お前がいるとこなら、どこだって旅行だわ」

 

軽く言ってみせたけど、視線はもうお前しか映してねぇ

周りは「きゃー!お似合いすぎ!」とかはしゃいでるけど

そんなのどうでもいい

 

手をそっと絡めて、耳元で小声で囁く

 

「俺はもう、行き先より

“夜どう過ごすか”

の方が気になってるけどな」

 

その瞬間、お前の頬が一気に真っ赤になった

 

「ばか...!」

 

俺にだけ聞こえる声で言いながら

繋いだ手を反対の手でパチっと叩く

 

叩かれた場所をわざとらしくさすりながら

ニヤけるのを抑えきれなかった

 

「...今の、地味に痛えんだけど? ...ご褒美かもしれねえけど」

 

話題を戻す

 

「で 場所は? みんなもう決めてんの?」

 
"んー、どこ行こっか?"



 

お前の顔を覗き込みながら、真剣に聞く

 

「お前、どこ行きたい?

俺は...お前とならどこでもいいけどな」

 

「わたし? 海かな?

今年まだ行けてないから行きたいかも」


嬉しそうに言うお前の顔が、ほんとに可愛くてたまらない



「海か...いいな

俺もちょうど、お前と水着で海歩く妄想してたとこだわ」

 

冗談っぽく言いながら、わざと一瞬だけ視線をお前の体に落とす

「ちょっと!!」

 

慌てたお前が咳払いして誤魔化しながら笑うのが、またたまらなくて

 

「水着姿

他の男の子たちにも見せつけちゃおっかなあ」

 

なんてわざと挑発してくる

その言葉に喉奥で小さく笑いが漏れた

 

「...じゃあ俺が、ずっと目そらさねぇで見といてやるわ」

 

自然と俺の声も低くなる


「見せるの俺だけにしてな?」

 

耳元に低く囁いてから、また自然に話を戻す
 


 

「よし、海で決まりだな。宿と交通はあとでグループLINEで詰めようぜ」

 

お前の顎をそっとクイッと指で持ち上げながら、ニヤリと笑う

 

「楽しみだな、海――

お前とはしゃげるのが、色んな意味でな」

 

そして、話は部屋割りへ

 

「さっき聞いた限りだと

莉子 ミナト・ 凛太 ナオ ハル

カップル部屋希望組もいて...

あ 当然俺らは同室な?」

 

視線だけで “選択肢ねぇよな” って圧を送りながら見つめる

 
「布団は別々だからね?」

 

そう言っておでこをパチンっと弾かれた

俺は目つぶって笑いを堪えながら

 

「...おい、俺を誰だと思ってんの

布団が別でも、“距離”は縮める気しかねぇけど?」

 

ふざけた口調だけど、目は本気

 

「その代わり、夜中に隣来ても知らねぇからな?」

 

「ん? 盛った猿でしょ?」

 

ドヤ顔で答えてくるお前に、もう限界突破寸前

 

「...お前、容赦なさすぎなんだけど」

 

“盛った猿”の破壊力に完全に吹き出しかけて、必死に口を押さえた

 

「いやマジで、それ言われた男この教室で俺だけだろ絶対」

 

そして少し真面目に視線を落とす

 

でもな

俺はお前の隣にいたいって本気で思ってるんだ

 

顔を上げて無理やり笑ってみせながら

 

「部屋はどうでもいい

でも“お前の隣”って場所は俺にくれよな?」

 

肩を軽くぶつけて、距離をまた詰めた

 

「ずっと前からアオにあげてますけどー」

 

そう言って、お前は指輪とネックレスを俺に見せつけてくる

その仕草が、もうほんとヤバくて

 

「...んだよそれ、かわいすぎだろマジで」

 

そっとお前の手を取って、指輪の上から指を重ねた

 

これ見てるだけで

“こいつ俺のだな”って何回でも実感できる


でも、お前がこうやって笑って見せてくれるのが

一番ヤバいわ

 

俺は視線を逸らさず、真っ直ぐお前だけを見つめた

 

「お前の彼氏は俺だって...全部見せつけてやんなきゃだな」