昼休みになって教室に戻ると、すぐお前の声が聞こえた

 

「アオ!!学食行かない?」

 

振り向くと

えれなが満面の笑みで手を振ってこっちに駆け寄ってくる

 

その笑顔だけで胸の中のモヤモヤが一瞬だけ静かになった

 

「ああ、行こっか」

 

立ち上がってお前の方へ歩き

ほんの少し強めに頭をくしゃっと撫でた

 

「その笑顔、俺以外の奴に向けんなよ?マジで」

 

冗談っぽく言ったけど、目だけは全然笑えてなかった

 

「ちょっとー!やめてよぉ

ボサボサになっちゃうー!」

 

髪を直しながら笑うお前がたまらなくて

つい口元が緩む

 

「わたし、アオにしか

...こんな顔しないよ?」

 

わざと変な顔して俺の方を向いてイタズラっぽく笑う

 

「かわいい?」

 

「お前、ほんと反則だな」

 

全部の不安を吹き飛ばすくらい愛しくて自然と声が漏れる

 

「かわいいよ

どんな顔してもな

つか マジで俺以外に見せんな」

 

そのまま指を絡めて手を取る

 

「なぁ えれな...今夜時間ある?
話したいことあるんだ」

 

「いいよ?アオの家行こっか?
なんなら帰り私の家寄ってそのまま泊まってもいいかな?」

 

お前の言葉に

胸の奥に引っかかってたものがふっと消えた

 

...泊まりたい? いいよ、むしろ救われたわ
 

ぎゅっと指を絡めたまま、心の中で決める

今夜絶対に

お前と向き合う

 

「じゃあ放課後も一緒帰ろうね?」

 

そこへ――

 

「グゥー…」

 

お前の腹の音が鳴った瞬間
思わず肩震わせて笑った

 

「腹の音かわいすぎだろ」

 

手を引いて歩き出す

 

「行くぞ
今日の学食はピーマンたっぷりの何かが出る気がしてる

俺の予知能力、信じる?」

 

「え、信じる!
ピーマン嫌いのアオが言うんだもん

きっと当たってる!」

 

クスッと笑って俺の顔を見上げてくるお前の顔が

ほんとズルい
 

そのまま頭ぽんっと撫でて

 

「俺はピーマン嫌いでも
お前が好きって言ったら、ちゃんと食べるって決めてんの」

 

少し立ち止まって、お前の手をぎゅっと強く握る

 

進路だって、

将来だって、そうだよ

お前がいる未来なら俺は

どんな道でも“好き”になる自信ある
 

目をまっすぐ見つめて続けた

 

今夜全部話すから

誰が隣に来ようと
お前しか選ばないってことも
 

ちゃんと全部、言葉にするから

 

お前の手のぬくもりだけが今の俺の支えだった

今夜、お前と未来を重ねる準備はもうできてる