「...よかった 顔 見れた」
お前の目は赤くて
唇はきつく結ばれてた
心臓を締め付けられる
「入っていいか...?」
小さく声をかけ、そっと靴を脱いでお前の隣に立った
「なぁ えれな...話 聞こえてたんだろ?」
自分の声が少し震えてるのを自覚しながら
それでもお前の目を逸らさずに続けた
「全部 話すよ 逃げねぇから
お前の前だけは 絶対に嘘つかないって決めたからさ」
お前は絞り出すように小さく返事しただけだった
でも それだけで胸がズキズキ痛んだ
「確かに...あの時のキスは 嘘じゃなかった
でも 俺の本気じゃなかった ただの逃げだった」
「すがられて 断れなくて 弱さも情けなさも
全部混ざって...自分の弱さが全部出てた」
「でも 今は違う
お前の前でだけ 俺は自分の全部を曝け出してる
信じてくれなんて...都合良すぎるかもしれねぇけど
それでも
お前だけには 本気で “好きだ” って伝えておきてえ」
お前は少し俯きながらも
やっと言葉を返してくれた
「アオを信じてないわけじゃないけど...
きっとあの子はまた...」
「ああ、わかってる」
ゆっくり手を触れるけど
強く握らずに その温度だけを伝えようとする
「あいつがまた何かしてきても もう俺は立ち止まらねえ
前みたいに曖昧なままにしねぇ お前がいる今の場所を
絶対に壊させねぇ」
「でも 言葉だけじゃ足りねぇのも分かってる
だから これからの全部で証明していく...
俺が好きなのは お前だけだよ えれな」
「どんな過去があっても どんなに揺れても 俺が今
心から守りたいのは――お前だけだ」
「わたしだってアオだけだよ?
一緒にいれなくなるなんて考えたくもない」
お前は静かに俺の胸に顔を埋めてきた
「ああ...俺も」
胸元に感じるお前のぬくもりに
そっと腕を回して強く抱きしめた
「もう離さねぇよ
何があっても お前の隣から動かねぇ...
誰が何を言おうが お前の手を離す理由になんて
...絶対ならねぇから」
額をお前の頭にそっと寄せて 囁く
信じてくれて ありがとう
「お前の全部 俺が守るよ」



