朝の光がカーテン越しに差し込んでくる




えれなの寝息がまだ静かに続いてる時間
俺は枕元で肘をついてぼんやりお前の寝顔を見てた

 

寝顔まで反則かよ
可愛すぎて目ぇ逸らせねぇ

 

そっと髪を耳にかけて小さく囁く

 

「誕生日 あと2日だなっ」

 

お前の頬にキスを落として

そのまま布団に潜り込む

土曜だし今日はどこにも行かなくていい

お前が目覚めるまでこうしてていいんだよな






少ししてお前が眩しそうに目を細めながらもぞもぞ動き出す

 

「んーっ まぶしい..w
 

...アオ わたしもしかしてそのまま」

 

「あぁ

寝てたよ 可愛くすぅすぅ言いながら」

 

「ほんとごめん」

 
あたふたしてるお前をみて

思わず笑いが込み上げてきた


「謝るな

てか 俺が長々抱きしめてたようなもんだし」
 

「今日は土曜 時間は俺らのもんだ
 
どうする?少しは目覚めたか?」

 お前の額に軽くキスをして髪を撫でる



お前はちょっと照れたように視線を逸らしながら

布団に顔を埋める

 

「そんな見ないでよ」

 

布団の中でモゾモゾ動いてる声が少しこもってる

 

「せっかくの休みだしアオとどっか行きたい」

 

お前の提案にニヤッと笑いながら布団の上からポンポン叩く

 

「何 照れてんの 隠しても無駄」

 

 

「そんなお前見てたら俺がどっか行けなくなるだろ」

 

囁きの後少し焦らして距離を取ると、

お前は顔を真っ赤にして布団をきゅっと抱きしめる


 

「ならそのままアオはお家で留守番してなさいっ」

 

冗談交じりに口を尖らせる

 

「行きたいとこは特にないけど アオとならどこでもいい 」

 

「ばーか そんなこと言われたら余計に出たくなるだろ」

 

布団の端をそっとめくってお前の手を引き寄せる

 

「任せとけ 適当に連れてってやる」

 

「ありがと」

 

笑ってるお前の顔見ると

俺まで幸せになれる

こちらこそありがとな...





俺はお前の軽く頭を撫でてから身支度を始めさせる

 

ー15分後

 

「アオ 用意できたよ 行こっか」

 

玄関に立つお前の手を引いてしゃがみ込み 靴を履かせる

 

「ねえアオ

わたしお姫様じゃないんだから

靴くらい自分で履けるってば」



「ったく 朝から可愛すぎんだよ

俺が好きでやってんだよ、ばーか」

 


 

ドアを開けて外に出るとすぐに手をぎゅっと繋ぐ

 

「行くぞ 誕生日の前祝いだからな」

 

 

照れ隠しのように口では文句言いながらも
その目は嬉しそうに細めてる

 

「前祝い..

まだ2日もあるよ?明日も休みだし」

 

お前が首をかしげて俺を見上げる

 

「だから今日と明日は独占させろって言ってんの

 お前の誕生日ってだけで俺はもう特別モード入ってんだよ」

 

頬をつまんでニヤッと笑うとお前がぷくっと頬を膨らませる

 

「文句あんの?

だったら出かけんのやめて

今すぐ奪ってやろうか」

 

耳元でわざと低く囁いて反応を伺う

 

お前は頬を撫でながらも目を逸らさずに小さく呟く

 

「文句なんてないです

でも...どこ行く予定?」


そう言っておまえが
俺の顔を見る



「何?連れてかれる側が予定聞くのかよ」

 

頭ぽんっとしてお前の顔を覗き込む

 

「行き先は着いてからのお楽しみ

その方がドキドキするだろ」

 

手をぎゅっと強めに握って歩き出す

 

「行くぞ お姫様 ちゃんと手え離すなよ」

 

お前はくすっと笑いながら腕に寄りかかってくる

 

「何それ」

 

「ん?何それってデートに決まってんだろ」

 

後ろ振り返ってニヤッと笑う

 

「俺と出かけるってことはただの散歩でも特別になるんだよ

わかってねぇなぁ

んでさ 途中でちょっとだけ寄りたいとこあるから
 
俺のわがまま付き合えよ」




「んー?いいよ 何か買うの」

 

お前は俺の腕にさらにギュッとくっついてくる

 




「ばーか

今の...反則だろ」

 

かわいすぎんだろが



横目で見て笑いながら指を絡めて強く握り返す

 

「買うっていうか 着くまでのお楽しみ」

 

「ヒントは お前が前にチラッと見てたあれな」

 

少しペースを速めながら意味深に笑う

 

「お前のそういう顔見るために俺ちゃんと覚えてんだよ

 抜け目ないだろ?俺って」

 

「...見てたもの...っえ?えええ???」

 

お前が驚きながら目を丸くするのが横目に入る

 

「なんだよ?」

 

チラッとお前を見てまたニヤッとする

 

「そんなに驚くってことは

やっぱあれ欲しかったってことじゃん

口ではまだ早いとか言ってたくせに顔に全部出てんだよ

ばーか」

 

「欲しいなら素直にそう言えっての」

 

指絡めたまま手の甲に唇を寄せて囁く

 

「あとで ちゃんとつけさせろよ」

 

「どうしようアオ わたしもう幸せすぎて死んじゃうかも...

代わりに不幸が起きるとか それとも...」



お前の妄想が止まらなくなるのが面白くて思わず立ち止まる

 

「何言ってんだよアホ」

 

肩をぐいっと引き寄せて額をコツンとくっつける

 

「幸せすぎて死ぬとかふざけんなつーの

 不幸なんて来ねぇし来させねぇ」

 


...させてたまるかよつーの


「なぁ えれな

俺がいる限り絶対不幸になんてさせねぇから


...覚悟しとけよ

一生お前の幸せに責任持つってもう決めてんだよ俺は」

 

....

「今日のアオなんか変

いつも意地悪ばっかりなのに」

 

「は?優しいくらいで混乱すんなよ

お前が寝ぼけた顔でどこでもいいとか言ってくるから

ちょっと
本気出しただけだっつーの

でもまあ たまにはこういうのも悪くねぇだろ」

 

手を握ってそのまま自分のポケットに一緒に入れる

 

「意地悪はまたあとでな

今はちょっとだけ甘やかしタイムってことで我慢しとけよ」

 
 

「あ、やっぱりいつものアオだ

...指輪か 楽しみだなあ」

 

そういって俺たちは
他愛もない会話をしながら
昨日立ち寄ったジュエリーショップに向かう