「おじゃまします」
元気よく挨拶して、ぺこっと頭を下げるお前を見て苦笑する
「毎度毎度誰に向かって頭下げてんだよ」
玄関入った瞬間、後ろから腰に手を回して耳元で囁く
「家主は俺で、そんで彼女はお前だろ
遠慮すんなって言ってんだよ」
ほんっとにこいつ..かわいすぎんだろ
唇が触れそうなくらいまで顔を近づけて、ふっと離れる
「さ、飯の前に腹減らせっか...?」
意地悪げに笑って、わざと先にリビングへ向かう俺
「...!?なに言ってんのバカっ」
顔を真っ赤にして俺の背中を見つめるお前の視線、背中越しでもちゃんと感じる
「アオの家ってほんっと落ち着くよね
...いい意味で殺風景っていうか」
キッチンに向かって、焼肉の材料を取り出して
準備し始めるお前を見ながら
俺は背もたれに身体を預ける
「アオ今のうちお風呂入る?
お腹すいたでしょ?ごはん炊いとくね!」
「ん?わかったよ」
振り返ってニヤッと笑う
「でもな 風呂上がったら
まず...」
お前をそのままリビングのソファに座らせ
背中に手を回して首筋に軽く触れる
思わず顔を赤くするお前
「ふっ...ばーか
先に、ゆっくり温まれよ」
「え?ちょっ...焼き肉の準備は?笑」
手に軽く触れながら笑ってるお前がほんと可愛い
「後でいい」
耳元に唇を寄せて低く囁く
「数分したら俺も入るからな」
首筋にゆっくりキスを這わせて、軽く甘噛みする
「...っ!?意味わかんないこと言わないで
わたし後でいいから
ほら、早く入ってきてーー」
俺の背中を押して洗面所へ連れて行き
扉を閉めながら叫んでくる
「あったまっておいで!って言いたいとこだけど...
ちょっと頭冷やしてきてねー!」
その声に思わず風呂場で苦笑する
「お前のせいで余計熱くなったわ
冷やすどころか湯気で前見えねぇつーの」
シャワーを浴びながらぽつりと呟く
「ったく かわいすぎんだよ
調子狂わすなっての」
15分後 ー
髪を拭きながらリビングに戻る
「俺のピーマン担当さんよー
準備できた?」
「んー?できましたよー?ほら!」
先に焼き始めながら
ダイニングテーブルに並んだ焼き肉セットを見せて笑うお前
「いつでも食べれるよ?
わたし後でお風呂借りよっかな 先に食べちゃお?」
タオルを首にかけたまま隣に座る
「うん めちゃくちゃうまそう」
焼肉の匂いを吸い込みながら耳元で囁く
「お前が焼いたんなら...
何個でもピーマンでも食える気してきた」
心の奥で思う
...こういう時間 すげぇ幸せだな
「はぁ~ わたしもうおなかいっぱい」
洗い物を片付けながらお前が振り返る
「アオー
お風呂借りるね?
すぐあがってくるから...
ぜーったい来ないでよ?」
「ははっ...何?次は脱衣所から引っ張り出す気か?
湯冷めしねぇようにちゃんと温まってこいよ」
ソファに座ってテレビの音を少し下げる
「...やっべ
俺もそろそろ理性ぶっ飛びそう
落ち着け俺」
けど結局 お前の顔がまた浮かぶ
数十分後 ー
「はぁあ!さっぱりした
アオお風呂ありがとね」
立ち上がってお前を引き寄せる
「ほら ここ座れよ」
深呼吸して
隣に座るお前を抱き寄せる
「今日のお前
可愛すぎてもっと全部知りたくなるわ」
そう言う俺に
お前は呆れて笑う
「はいはい...笑
溺愛してくれてありがと
いつもほんとにお世話になってます〜」
棒読みのお礼に
思わずクスッと笑ってしまった
「なんだそれ 雑な礼だな
まぁいいけど、その分あとでちゃんと甘えさせろよ」
「はぁ〜...アオの隣くると眠くなっちゃう」
口元を手で覆ってあくびしながら肩にもたれてくる
頭が肩にのった瞬間 優しく抱き寄せる
「...眠くなるの俺のせいにすんな
でももうちょっとこうしてろ」
髪を撫でながら低く囁く
「そのまま寝たら...責任取れよな」
「ん...そんなんされたらわたし寝ちゃうよ?」
クスッと笑いながらお前はそのまま
俺の腕の中で眠りにつく
「ったく まぢで寝んのかよ」
寝息を立てるお前を見て苦笑する
「油断しすぎ
でも そういうとこほんと好きだわ
俺以外には絶対見せんなよ
この顔も この寝息も ぜんぶ 俺だけのもんだろ?」
寝てるお前に
俺の声...聞こえてっかな
俺も
そっと体を預けて目を閉じる
「...おやすみ えれな」
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