「ユ、ユキさん!この子は一体……っ」



「秘密よ。本当に緊急だから今回だけ特別!

彼女はモデルでもなんでもない、ただの一般人よ。だから指示お願いするわね」


と、カメラマンさんと話を進めていた。



「まさか、紬玖と一緒に撮影する日が来るなんてね」



と、隣に来てクスクスと笑いながら話しかけてきたお姉ちゃん。



……あたしだってこんなことになるなんて思わなかったよ。



「さすがあたしの妹!そこら辺のモデルより何倍も可愛いわよ」



……それ、妹補正かかってない?

こんなブス、誰も可愛いなんて思ってるわけないよ。



「はあ、あんたって子は……ほんとに無自覚ね。少しは自覚して欲しいくらいだわ。

紬玖、本当はあたしに負けないくらいの魅力があるってことをね!」



あたしが、お姉ちゃんに負けないくらい……?

……ないない、絶対ありえない。


そんなの天と地がひっくり返ってもありえない。



ブンブンと首を振ると、またはあとため息をつかれてしまった。



そんな姉妹の会話をしているなんて知らないスタッフは、紬玖の姿を見て「誰なんだあの美少女は……!」と騒いでいた。



そんなこんなで撮影が始まり、慣れていないあたしをリードするかのようにお姉ちゃんはどんどんポーズを撮っていく。



「はい、終了でーす!お疲れ様でした!!」



「お疲れ様でした〜!」



時間はあっという間に過ぎて、撮影は無事終了し着替えようとしたらユキさんに



「その衣装あげるわ!そのまま帰りなさい♪」



なんて言われて、結局このまま帰ることに。



「あ、紬玖?

燿のところへ行かない?今日仕事が終わったらご飯食べに行く予定なの!紬玖も行くわよ!」


先程からずっとスマホを取りだして連絡をしていたと思ってたけど、燿だったのか。


ここに燿がいると知って連絡してたに違いない。



「そうと決まったら行くわよ!!」



行くとも何も言っていないのに、行くことが決定したあたしはされるがまま仕事場を出たのだった。