今日の仕事は、新しく契約したCMの撮影らしい。

色んな角度から撮りまくっては確認して、の繰り返し。


今回私服が必要だったのは、この撮影の後にもう一本仕事があるらしくそのためのものだったとか。



次の仕事は雑誌の表紙の撮影。

雑誌のテーマが私服で撮影する事らしく、用意はしていたものの慌てて家を出たせいで玄関に置き忘れたというわけだ。



普段はしっかりしている姉なのに、こういう所は本当にドジというか……呆れるほど天然というか。


そんなところが姉らしくてあたしは好きなんだけどね。



「よし、じゃあエマちゃん!続きよろしくね!」



「あ、はいっ!

紬玖、ちゃんと見ててね。お姉ちゃん頑張るから……っ!」



じゃあね、と戻る姉に手を振り仕事モードに入る姉を見つめる。



先程ふにゃりと笑ってたのに、キリッとした表情になって役を演じるように180度違う姉。



……カッコイイな。

何度見ても姉の仕事をする姿はカッコイイと思わせられる。



お姉ちゃんはいわゆる"天才"


特に演技の天才と言われていて、どの役でも最高の役を演じる事で有名になった。


加えてあのスタイルと顔。

……人気が出ないわけがない。



そんな姉をずっと見てきた。

家で喉が枯れそうになるほど脚本を読み込み、役のキャラ作りの為にスタイル維持して生活を送る。


努力して、努力しまくって……今の地位を手に入れた。

そんな姉をあたしは心から尊敬している。気が付いたら撮影も終わり、次の撮影の支度をしている時のことだった。



「え……ええ〜ッ!!?もう1人のモデルが来ない!?」



そんな声が部屋中には響いたのだ。