「……紬玖、」
メイクをしている最中、申し訳なさそうにあたしを見つめる燿。
「悪い、お前をこんな形でまた……」
ぐっと口を結ぶ燿にへらっと笑うあたし。
素早くスマホを取り出して、いつものように文字を打っていく。
『大丈夫だよ!』
「……っ、でもお前、まだ……」
『ただ後ろ向いてるだけでいいんでしょ?顔は出ないんだし大丈夫。
それに、いつも燿には心配ばっかりかけてるから困ってるなら助けたい』
……まだ、前向きに考えれるほど立ち上がる勇気は今のあたしにはないし
トラウマを克服するだけの精神力はきっとない。
でも、それ以上に燿が困っているところを目の前で見過ごす事はあたしには出来ないんだ。
燿は本当に優しい。
ただの幼なじみの妹なだけのはずなのに、こんなにも常にあたしの事を考えてくれている。
あたしの過去を全て知っている数少ない人。
あの事があってから、燿はあたしに音楽の話をすることはほとんど無くなった。
仕事で忙しいはずなのに、過保護なくらい心配性な燿はできる限りあたしに電話して元気づけてくれた。
お姉ちゃんと同じく、あたしにとっては大事な家族なんだ。
『たまには妹を頼って
いつもありがとう、お兄ちゃん』
ほぼほぼ強制だったかもしれないけど、あたしは燿が困っているなら協力するよ。
「……紬玖、さんきゅうな」
『どういたしまして』
その後、メイクや着替えをしながらあたしがしなくてはならない仕事の内容を燿から説明を受ける。
「……って感じだな。流れは覚えたか?」
その言葉にこくりと頷く。
あたしの役目は、凪玖の彼女としてMVに参加すること。
今回のMVのテーマ……というより曲のコンセプトが両思いなのだとか。
別日に瑞希と燿のソロシーンは既に撮り終えているらしく、今日は凪玖のみとの事。
今日がMVの最終日。
3人で踊るシーンと凪玖のソロシーンを撮る予定……だった。
……まあ、その凪玖の彼女役のモデルさんが来なくなって急遽あたしがする事になったんだけども。
といってもなるべく顔は映さないようにしてくれるし、
カメラが映す凪玖に対して真正面を向いているあたしはほぼ後ろ姿というわけだ。
メイクをしている最中、申し訳なさそうにあたしを見つめる燿。
「悪い、お前をこんな形でまた……」
ぐっと口を結ぶ燿にへらっと笑うあたし。
素早くスマホを取り出して、いつものように文字を打っていく。
『大丈夫だよ!』
「……っ、でもお前、まだ……」
『ただ後ろ向いてるだけでいいんでしょ?顔は出ないんだし大丈夫。
それに、いつも燿には心配ばっかりかけてるから困ってるなら助けたい』
……まだ、前向きに考えれるほど立ち上がる勇気は今のあたしにはないし
トラウマを克服するだけの精神力はきっとない。
でも、それ以上に燿が困っているところを目の前で見過ごす事はあたしには出来ないんだ。
燿は本当に優しい。
ただの幼なじみの妹なだけのはずなのに、こんなにも常にあたしの事を考えてくれている。
あたしの過去を全て知っている数少ない人。
あの事があってから、燿はあたしに音楽の話をすることはほとんど無くなった。
仕事で忙しいはずなのに、過保護なくらい心配性な燿はできる限りあたしに電話して元気づけてくれた。
お姉ちゃんと同じく、あたしにとっては大事な家族なんだ。
『たまには妹を頼って
いつもありがとう、お兄ちゃん』
ほぼほぼ強制だったかもしれないけど、あたしは燿が困っているなら協力するよ。
「……紬玖、さんきゅうな」
『どういたしまして』
その後、メイクや着替えをしながらあたしがしなくてはならない仕事の内容を燿から説明を受ける。
「……って感じだな。流れは覚えたか?」
その言葉にこくりと頷く。
あたしの役目は、凪玖の彼女としてMVに参加すること。
今回のMVのテーマ……というより曲のコンセプトが両思いなのだとか。
別日に瑞希と燿のソロシーンは既に撮り終えているらしく、今日は凪玖のみとの事。
今日がMVの最終日。
3人で踊るシーンと凪玖のソロシーンを撮る予定……だった。
……まあ、その凪玖の彼女役のモデルさんが来なくなって急遽あたしがする事になったんだけども。
といってもなるべく顔は映さないようにしてくれるし、
カメラが映す凪玖に対して真正面を向いているあたしはほぼ後ろ姿というわけだ。
