「ねえ、昨日のドラマ見た?」


「見た見た!急展開過ぎて超テンション上がったんだけど〜!」


「わかる〜う!」



そんな話し声が聞こえ、ピクっと耳がそちらへ傾く。


授業が終わった放課後の教室

まだ何人か教室に残ってる人達が集まっては世間話に夢中になっていた。



「やっぱり可愛いよね、エマ!」


「二つ年上とは思えないよね本当に」


「あたしはやっぱり相手役の耀君推し!」


「わかるわぁ、この二人本当にお似合いって感じがするよねえ」



何気なく聞こえたそんな会話にマスクの下でふふっと微笑んでしまう。


……ハッ、いかんいかん。

マスクしてるとはいえ顔に出たらバレてしまう。顔を緩めないようにせねば。


すんっと真顔へ戻し、帰る支度を進めようと鞄に手を伸ばした。



あれ、メール……?

鞄の中に閉まっていたスマホのバイブ音に気付き、画面を確認すると1件のメールが届いていた。



お姉ちゃんからのメール……、嫌な予感しかしない。


数秒、宛先を見たあと姉だと分かり開くのを躊躇う……も、緊急かもしれないと思いメールを開く事に。


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紬玖へ

玄関にある袋を届けて欲しいな★

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たった一言、それだけが書いてあったのだった。



…………え、これ一旦家に帰ってから届けろって事?



思わずスマホを床へ投げそうになるのを抑え、バックにしまい椅子から立ち上がり教室を出たのだった。