うちの訳アリ男子たちがすみません!


「もし……もし、会場から閉場まで正確な来場者数を知っている人がいれば……そしてそれが目標に達していたら、僕たちは今まで通り
野茨学園に通っていいと、そういうことですよね?」

『ああ、そうじゃな』

「なら、僕たちに少し時間をくれませんか? そんな人に心当たりがあるんです」

 あっと私は声を出した。

 そういえば、そうだ。楓くんが言わんとしていること、私にも心当たりがある。

 私もあの時、会ったじゃないっ!

 オープンスクール当日、来場者数を数えてくれていた人。

 生徒会の手伝いなんだって言ってた人。


 葵だ!


 楓くんにぱっと視線を送ると、彼はゆっくりとうなずいた。

 やっぱり私と考えてることは一緒なんだ。

 門の近くで手伝いをしてた葵なら、正確な人数、知ってるかもしれない!

「行こう」

 ぽかんと呆けている理事長を置いて楓くんは颯爽と身をひるがえす。

 紫苑くんも思い当たったのか、あごに手を当てにやりと笑った。

「なるほど。彼女なら期待できそうですね」

 その目がギラっと光って面白いものを見つけた時の獣のような顔をしている。

 もしかして紫苑くん、この状況を楽しんでる⁉

 面白くなってきたと、紫苑くんはふふふっと笑い楓くんの後に続く。

「え、なになに! どういうこと?」

「どーしたのぉ?」

 わん太くんとミケくんがそれぞれ不思議そうな顔をしてついてくる。

 天くんも何も言わず隣についてくる。

 突然部屋から出ていく私たちに、清水先生はあわてている。

「ち、ちょっとみなさん⁉ いったいどこへ行くんですか!」

「先生も気になるなら来ればいいですよ。そのタブレットでも持って」

 紫苑くんが振り返って先生をちらっと見つめた。

 清水先生と理事長は困った顔で画面越しに顔を見合わせた。