まさか、それって……。
『残念じゃが、これでは……』
「ちょっと待ってください」
理事長の言葉を遮るようにして紫苑くんが隣で一歩踏み出した。
「その人数は四時から閉場までの一時間を考慮していないですよね? 正確な数字を教えてください」
『あのなあ、君たち。四時を過ぎればすべてのイベントが終わり閉場準備の時間なんじゃよ。そんな時間に入場する人はおりゃせん。もちろん、人数を数える人もおらんよ』
理事長はなだめるように言う。
そんな! 可能性はあるのに!
天くんも身を乗り出して憤慨する。
「そんなの、無責任だろ。こっちは学校辞めなきゃいけなくなるんだぞ!」
「朝日さん、口を慎んでください。お相手は理事長ですよ」
「ああ⁉」
『気持ちはわかるが、どうしようもないことじゃ。親御さんには私から話しておこう』
理事長と清水先生の間では退学ということで話がまとまっているようだった。
本当に私たちは野茨学園を去らなきゃいけないの?
あれだけいっぱい勉強してやっとの思いで合格したのに……。
こんなんじゃ、納得できないよ!
その時、天くんたちを遮るようにして、静かに楓くんが手を上げた。
「……一つ確認したいことがあります」
『なんじゃ?』
思案顔だった楓くんは顔を上げてまっすぐに理事長を見つめる。


