「あなたたち、来てもらえますか」

 清水先生が静かに私たちを見つめる。

 教室に着いた途端、さっそく先生から呼び出しを食らっちゃった。
 
 もちろん、男子たちも一緒だ。
 
 心臓がどくどくと波打つのが分かる。

 先生に呼び出される理由はただ一つ。

 特別対応係の結果だよね……!

 先生の後を追って前と同じ道を通って、理事長室まで行く。

「本日も理事長はいらっしゃいませんが。ビデオ通話でつながっていますよ」

 私たちが部屋の中に入ると、先生はタブレットを取り出して机の上に立てた。

 画面にはスーツを着てネクタイを不器用に結んでいる理事長の姿がある。

 頭をうつむけているため、私たちが見えているのは理事長の後頭部だ。

「こほん。理事長、もう始まってますよ」

 清水先生はわざとらしく咳をした。

 理事長は今カメラの存在に気づいたかのように、カメラに顔を近づけてのぞき込んだ。

 理事長のドアップの顔が映し出される(主に鼻)。

「理事長、顔が近いです」

 清水先生は涼しい顔をして理事長に指摘する。

『おお、すまんな。最近のツウシンギジュツとやらはどうもわからん』

「理事長、髪がはねてます」

『……清水先生は細かいのう』

 清水先生は、今度はジトッとした目で理事長を見つめた。

 理事長は言われたことを気にしてか、前髪をさっと抑えつけるけれど、すぐにビヨンと元に戻ってしまう。

 特別対応係を頼まれてから理事長は厳しい人なのかと思っていたけど、案外面白い人なのかも?

『ではそろそろ話を始めるかの。君たちの今後についてを』

 理事長も一つ咳をして体勢を整えた。

 私たちにも緊迫とした空気が流れる。