「あさひなは本当の名前じゃないんだよ。本名は朝日日菜。天の姉だよー」
「え……えええええええっ⁉」
あさひなちゃんが、天くんのお姉さん⁉
あさひなちゃんはうふふっと微笑みながら私の隣に座った。
いつも画面越しだったこの姿に私はどぎまぎしてしまう。
た、確かに天くんは、私があさひなちゃんの話をするたびに様子がおかしかった。
紫苑くんやわん太くんが何か言おうとしてた時もあわててたし。
それにあれ! オープンスクールの動画撮る時も!
天くん、いつの間にかあさひなちゃんに頼んで動画もらってたよね。
あれって、天くんがお姉ちゃんであるあさひなちゃんに連絡して、協力してもらったってこと⁉
どうりで簡単に頼めたわけだ……。
葵じゃないけど、衝撃の事実に放心状態だ。
「天からよく聞いてるよー。面白い子がいるって。しかも私のファンだって聞いてうれしかった~」
せっかくの話すチャンスなのに、私は聞くことしかできない。
頭の中真っ白だよ!
あさひなちゃんは苦笑して体を前に傾けて私の隣を覗き込む。
「ところであの子はさくらちゃんの友達?」
うつろな目のまま、首だけ動かすと、葵が「破壊力ヤバすぎ、さすが私が認めたプリンス……」と念仏み
たいに唱えながらやっぱりまだ倒れていた。
これは長くかかりそうだ。


