本当のサッカーの試合は前半と後半で四十五分ずつ。間に十五分以内の休憩があるらしいんだけど(昨日の夜、ネットで調べた)、今回は二十五分ずつのプレーなんだって。
時間がないから点が取れるかが勝負だって男子たちが言ってた。
休憩があるとはいえ、合計五十分もサッカーできるなんてすごいなあ。
私は運動音痴だからすぐへとへとになっちゃう。
天くんはすごい速さで走りながらドリブルすると紫苑くんにパスした。
「おっと」
紫苑くんは危なっかしいながらもしっかり受け取ってゴールへと走っていく。
だけど、赤チームも黙っていなくて、ユニフォームを着た上級生が紫苑くんの行く先を邪魔してる。
紫苑くんの周りを二人の先輩が並走してるんだ。
完全にマークしてる。
「っ」
紫苑くんは顔をしかめてやりにくそうだ。
すると、上級生の一人が右足を出してそのままボールを奪って行っちゃった。
ああ、奪われちゃった……!
今度は選手たちが反対側のゴールのほうに動く。
ゴールキーパーを担っているわん太くんがキリッと相手チームを見すえているのが見えた。
「おお~、やってるねえ」
緊迫としたムードの中で、ひときわのんびりとした声が響く。
それを聞いた途端、はてと私は動きを止めた。


