レギュラー争いの今回の試合は紅白戦。

 サッカー部の中で赤チームと白チームに分かれて戦う。

 チームは一年生を中心として自分たちで決める。そのため、先輩後輩が入り混じっている、混合チームだそうだ。

 練習試合の日、朝早くから家を出た男子たちに遅れて、私もいつもより早めに家を出た。

 途中で待ち合わせをした葵と一緒に。
 
 昨日の帰り、まだ働いてた葵に試合のこと話したら、一緒に行きたいって言ってくれたんだ。

 野茨学園のサッカー場に着くと観客席にはたくさんの人がいた。

 野茨の制服を着た学生も、部員の家族らしき人たちも。

 試合前の観客席はざわざわとしている。

「あ、いい席空いてるよ!」

 昨日にも負けない人ごみの中、葵が走っていくのをあわてて追いかける。

 葵が陣取ったのは選手席に近い特等席。

 サッカー部員の子がフィールドで足慣らしをしているのがよく見える。

「ミケくんたちはみんな、白チームなんだよね? 青いユニフォーム着てんのは上級生かな? みんな、背高っ。かっこいー」

「葵ってば、それ目当てで来たでしょ」

 サッカー部員のイケメンを見つけては葵の目がキラキラと輝いている。

 いつだってイケメンには目がないんだから。

 葵のイケメンセンサーには脱帽だ。

 葵はあははと朗らかに笑った。

「やだなー。ちゃんと応援してるってば。……あの葛城翔と勝負するんでしょ。行かないわけないよ」

 葵の顔が真剣な顔に移り変わった。