「僕たちも行こう。早く練習しないと」

 楓くんが静かにこぶしにギュッと力を込める。

 ばいばい、と手を振ろうとすると、男子たちの真剣な顔に気が付いた。

「……どうしたの?」


「さくらちゃん、僕たち明日の試合絶対に勝つよ」

「勝って見返したい! 僕、さくらのためにも頑張る」


 楓くんとミケくんの顔が決意に満ちている。

 楓くん、わん太くん、紫苑くん、ミケくん、天くん。

 それぞれが熱い思いをもって今日まで練習してきた。

 私はそれを一番よく知っている。


「うん! 応援してる」


 最後の練習に向かう彼らを私は笑顔で見送った。