待ちに待った野茨学園登校の日。
憧れの制服に身を包んでうきうきに登校する……はずだったんだけど。
七時の目覚まし時計のアラームが鳴る前に、パチッと目が覚めた。
「なんだか、悪い夢を見た気がする……」
体を起こすとあさひなちゃんの顔とご対面。
このポスターはCDデビューした時の‼
今も可愛いんだけど、初期のころのナチュラルメイクをしてた時も可愛いんだよね~。
むふふっと笑っていると、ぽわわんと違う顔が頭に浮かんできた。
ツンツンとげとげした髪に、トイみたいに目をかがやかせた顔……などなど約五名。
いやいや、な、ないよね! 男子たちが来たなんて。しかも居候、とか!
悪い夢だよね‼
困ったな、私の頭はへんてこな夢を作っちゃうんだから、なんて思って洗面所の扉を開けると、……紫苑くんがいた。
「う~ん、今日も美しい。私はやっぱり地球上で最高の生き物だ」
私はバタンッと音を立てて扉を閉めた。
……夢じゃ、ない。
全部現実で、ほんとのことだったんだ……!
私は腰に手を当てて、はあっと息をつく。
そうだ。お母さんと急いで二階の二部屋を片付けて、使ってもらうようにしたんだ。
彼らの荷物がそれぞれリュック一つ分で、少なかったのは助かったけど。
夢であってほしかったよ~~!
紫苑くんが音に気づいてぎいぃと扉を開けた。
「なんです? 今、私の顔を見るのに忙しいんですけど」
紫苑くんの口から飛び出してきた言いわけに、私は目を見開く。
な、なんなの、あの人! 初めて聞いた言葉だよっ!
「洗面所はみんなで使うとこだろ。くだらないことしてないで、早くどけっ」
後ろから聞こえた声に振り向くと、寝ぐせで昨日以上に髪をとがらせた天くんが腕を組みながら立っている。
紫苑くんは心外といった顔をして天くんに詰め寄った。
「くだらないとはなんです! これはれっきとした私のルーティンで」
「聞こえなかったか? く・だ・ら・な・い!」
「……私のブレインがあなたを敵と判断したようですよ! 覚悟しなさい」
ブレインって英語で脳って意味だよね。
はて、と私はあっけにとられる。
「はあ? くっだらねえ」
天くんは紫苑くんを押しのけると、ずかずかと洗面所に入っていった。
紫苑くんはその場でがたっと体勢を崩す。
「あー、今日もやってるね」
落ち着いた声が聞こえたと思ったら、今度は楓くんだ。
朝早いっていうのに、制服の真っ白なブレザーや青と金色のストライプ模様のネクタイはピシッと決まっている。
やっと唯一、まともそうな人が来たよ!
楓くんは慣れた手つきで紫苑くんの首根っこをつかむと、そのまま引きずっていった。
「う、うわあっ、何をする、楓!」
「さてさて、紫苑は朝食の準備でもしようか。おとなしくついてきてね」
断末魔のような悲鳴がだんだんと遠ざかっていく。
ときおり、階段に何かがぶつかる音も。
ああ、痛そう……。
紫苑くん、お気の毒に。
誰もいなくなった廊下に、私はゆっくりと手を振る。
「……使えよ」
天くんが歯磨き粉を口につけながら、鏡の前をそっと空けてくれた。
「う、うん」
天くんは何事もなかったかのようにゴシゴシゴシと高速歯磨き!
歯ブラシの柄は彼の目と同じ色の青色だ。
男子たちの目ってそろいもそろって、きれいだよなーーって、そうじゃなくて。
こんな毎日がこれから続くなんて! 耐えられるわけなーーい!
憧れの制服に身を包んでうきうきに登校する……はずだったんだけど。
七時の目覚まし時計のアラームが鳴る前に、パチッと目が覚めた。
「なんだか、悪い夢を見た気がする……」
体を起こすとあさひなちゃんの顔とご対面。
このポスターはCDデビューした時の‼
今も可愛いんだけど、初期のころのナチュラルメイクをしてた時も可愛いんだよね~。
むふふっと笑っていると、ぽわわんと違う顔が頭に浮かんできた。
ツンツンとげとげした髪に、トイみたいに目をかがやかせた顔……などなど約五名。
いやいや、な、ないよね! 男子たちが来たなんて。しかも居候、とか!
悪い夢だよね‼
困ったな、私の頭はへんてこな夢を作っちゃうんだから、なんて思って洗面所の扉を開けると、……紫苑くんがいた。
「う~ん、今日も美しい。私はやっぱり地球上で最高の生き物だ」
私はバタンッと音を立てて扉を閉めた。
……夢じゃ、ない。
全部現実で、ほんとのことだったんだ……!
私は腰に手を当てて、はあっと息をつく。
そうだ。お母さんと急いで二階の二部屋を片付けて、使ってもらうようにしたんだ。
彼らの荷物がそれぞれリュック一つ分で、少なかったのは助かったけど。
夢であってほしかったよ~~!
紫苑くんが音に気づいてぎいぃと扉を開けた。
「なんです? 今、私の顔を見るのに忙しいんですけど」
紫苑くんの口から飛び出してきた言いわけに、私は目を見開く。
な、なんなの、あの人! 初めて聞いた言葉だよっ!
「洗面所はみんなで使うとこだろ。くだらないことしてないで、早くどけっ」
後ろから聞こえた声に振り向くと、寝ぐせで昨日以上に髪をとがらせた天くんが腕を組みながら立っている。
紫苑くんは心外といった顔をして天くんに詰め寄った。
「くだらないとはなんです! これはれっきとした私のルーティンで」
「聞こえなかったか? く・だ・ら・な・い!」
「……私のブレインがあなたを敵と判断したようですよ! 覚悟しなさい」
ブレインって英語で脳って意味だよね。
はて、と私はあっけにとられる。
「はあ? くっだらねえ」
天くんは紫苑くんを押しのけると、ずかずかと洗面所に入っていった。
紫苑くんはその場でがたっと体勢を崩す。
「あー、今日もやってるね」
落ち着いた声が聞こえたと思ったら、今度は楓くんだ。
朝早いっていうのに、制服の真っ白なブレザーや青と金色のストライプ模様のネクタイはピシッと決まっている。
やっと唯一、まともそうな人が来たよ!
楓くんは慣れた手つきで紫苑くんの首根っこをつかむと、そのまま引きずっていった。
「う、うわあっ、何をする、楓!」
「さてさて、紫苑は朝食の準備でもしようか。おとなしくついてきてね」
断末魔のような悲鳴がだんだんと遠ざかっていく。
ときおり、階段に何かがぶつかる音も。
ああ、痛そう……。
紫苑くん、お気の毒に。
誰もいなくなった廊下に、私はゆっくりと手を振る。
「……使えよ」
天くんが歯磨き粉を口につけながら、鏡の前をそっと空けてくれた。
「う、うん」
天くんは何事もなかったかのようにゴシゴシゴシと高速歯磨き!
歯ブラシの柄は彼の目と同じ色の青色だ。
男子たちの目ってそろいもそろって、きれいだよなーーって、そうじゃなくて。
こんな毎日がこれから続くなんて! 耐えられるわけなーーい!


