「うれしいな。こうしていろんな人が来てくれるの。たくさん動画を撮った甲斐があったね」
私の言葉に紫苑くんが大きくうなずいた。
「そうですね。これなら理事長の依頼も達成できそうですし、……あとは明日の試合だけ」
「みなさ~ん、いばらちゃんとの撮影はこちらからお並びください~!」
紫苑くんの声にかぶさるように元気な声が聞こえてきた。
声を張り上げながらこっちに歩いてくるのは、なんと葵だ。
「あ、さくらたち、いたいた~!」
「葵⁉ なんでここに?」
葵は目の前まで来るとエッヘンと胸を張る。
「私、いろんなとこの助っ人してるって言ったでしょ。今日は生徒会の手伝いしてるの。整列と人数カウント担当!」
見れば葵の腕には関係者の腕章がはめてある。
ええっ、そうだったの?
葵ってば何でもやってるなあ。
「この中に私たちの未来の後輩がいるかと思うと嬉しくなっちゃうよね。みんな受かってほしいなあ」
葵の嬉しそうな目に私はハッとした。
そうだ。私、特別対応係のことでいっぱいいっぱいで、オープンスク―ルの意味、全然分かってなかった。
このオープンスクールに来て、受験を決める子もいるんだ。
私たちがオープンスクールを宣伝してたことは、そんな子たちの未来を決めることにもつながったのかも。


