『会場は野茨学園です。駅からは徒歩五分ですぐに行けますよ』

『当日はステージ出演もある、いばらちゃんが門の前で案内してくれるぞ。記念撮影もオッケー。たくさん
撮ってくれ』

 ちょっとたどたどしいけど、天くんもセリフを言えるようになった。

 この次は私なんだ。

 心臓をどきどきさせながら画面を見つめる。

『カウントダウン動画の投稿は今日で最後! 今まで見てくれてありがとう。これからも野茨学園をよろし
くね』

『わんっ』

 私が言い終わると同時にトイが吠えながら走ってきた。

 実はこれ、台本にはなかったんだ。

 突然トイが来ちゃったもんだからみんな驚いたんだけど、動画がいい感じになっていたからこのまま投稿
しようってなったの。

 トイは行儀よく私たちのそばに座る。

『みんな、行くよ! せーのっ』

『『『『『『野茨学園で待ってます!』』』』』』

『わん、わーん!』

 私たちの声とトイの鳴き声が重なって動画は終わる。

「いいね。これで投稿しちゃおうか」

 楓くんがふわっと微笑んだ。

 うんうん! めっちゃいい!

 みんな揃ってて最高の動画(・・・・・)だよ!

「ぽちっとな」

 わん太くんが投稿のボタンを押すと、画面が変わって動画がネット上にアップロードされる。

 最後の動画の投稿が終わった。

 これで私たちが出来ることは終わったんだ。

 そう思ったら、どっと疲れが出てきた。

 明日のオープンスクールで、私たちの運命が決まる。

 このまま野茨に通い続けられるか、退学になるか。


 どっちに転んでも、もう後悔はない。

 だってやれることはやったんだから。


 最高の仲間たちと。