振り向くと、紫苑くんが歩いてくるところだった。

「八尾さん、そんなことを言ってもですね……」

「生徒会はそのSNSを使っているのでしょう? 先生のチェックはあるはずです。清水先生が投稿前に確認してくださればいいだけの話ですよ」

 彼の指摘はドンピシャだったらしく、清水先生はうぐっと口をつぐんだ。

 紫苑くんはここぞとばかりに言葉を続ける。

「私たちが動いているのは理事長の依頼があったからですよ。私たちに頼んだということは手段を選ばず目的を達成したいからではないんですか」

 何も言い返せなくなった先生は困ったように頭を抱えている。

 ナイスだよ、紫苑くん! さすが、頭の良さを自慢するだけのことがあるよ!

 しばらく考え込んだ後、先生はため息をついた。

「わかりました。その方針で進めてもらって結構です。学校用のタブレットで私に動画を送ってください。すぐに返信するようにしますから。その代わり! 絶対に千人を達成させるんですよ!」

 先生は語気を強めてくぎを刺す。

 やった! 先生の許可が下りたよ!

 これで、みんなで宣伝動画を作れる!

 紫苑くんはなんてことないような、涼しげな顔をしてる。

「ありがとう、紫苑くん」

 お礼を言うと彼は一瞬だけ硬直して、照れたように顔をそむけた。

 紫苑くんもだいぶ素直になったなあ。

 これも仲間になったおかげ?

 私は嬉しくなってふふっとほほ笑んだ。