「野茨学園の公式SNSがあるの。先生とか生徒会に頼んだら投稿できるんじゃないのかなっ!」
紫苑くんが「なるほど」とつぶやく。
「SNSは不特定多数に公開されますからね。参加人数は格段と増えるでしょう」
でしょでしょ! 我ながらいいアイデアでしょ?
野茨のSNSは格式張っていて見てくれる人も少ない。
だけどさっきのあさひなちゃんみたいに、面白くてわかりやすく伝えられれば!
きっとたくさんの人に興味を持ってもらえるはず!
ミケくんがぽんと手を打つ。
「だからさくらはパソコンのことを聞いてきたのかぁ。わかった、動画の編集は僕がやる。天、手伝ってよ」
肩をたたかれた天くんはぎょっとした。
「は? 俺無理だって、そういうの」
「僕が教えるからだいじょぶぅ~。安心しなさいっ」
「はあ⁉」
「撮るとなれば台本が必要ですよね。私に任せてください」
ぎゃあぎゃあ騒ぐ二人を無視して紫苑くんが言う。
え、紫苑くんが?
ばちっと目が合う。
すると紫苑くんは人差し指でこつんと自分の頭をさした。
「私にはこのブレインがありますからね。理事長の依頼、見事に遂行させてみせますよ」
一瞬だけ、ふっと勝ち誇ったように笑う。
彼の姿がいつになくキラキラと輝いて見えた。
楓くんはわん太くんのほうを向く。
「ワンは僕と一緒にオープンスクールのこと、もう一回調べよっか。いいところ、たくさん探してみよう」
「了解~! 俺っちも頑張るよ!」
わん太くんはやる気満々でぴょんっと飛び跳ねた。
みんなが私に協力してくれてる。
男子たちみんな、元通りだ!
「さくらちゃんには先生たちに許可取ってもらっていいかな」
楓くんに声をかけられて私はうんっとうなずいた。
今の私たちなら、何でもできる気がするよっ!
「じゃあ、みんなで頑張ろう! えいえいおー!」
私は思いっきり叫ぶと、手を上に向かって高くつき上げた。
私たち、精一杯頑張るよ!


