すると私の話を聞いてからずっとうつむいていたミケくんがゆっくりと顔を上げた。
「そうだよね。今のままじゃだめだよね。……なんだか、さくらを見てたら元気になっちゃったなぁ!」
ミケくんの顔はまだ無理してる。
だけど彼の頑張ろうとする気持ちに私は答えたいって思った。
おっとりしてていつも眠たそうなミケくん。
でもサッカーはたくさん練習してて一生懸命なのがわかった。
よく近寄ってきてくれてまっすぐにほめてくれる。
その横でわん太くんが眉を下げた。
「わかったよお。俺っちだってずっとけんかしていたいわけじゃないもん。仲直りする!」
その様子に楓くんが満足そうにうなずいた。
「ごめんね、わん太。否定してたわけじゃないんだ。僕も気持ちは同じだった」
「うん、わかってる。俺っちもごめん」
楓くんとわん太くんは握手を交わす。
よかった。仲直りしてくれた。
二人にぱああっと笑顔があふれる。
わん太くんはいつも元気で楽しそうにしてて、周りの私たちのほうが元気をもらっていた。
だからこそ、葛城くんに怒っていた時は少しびっくりしちゃった。
あの苦しそうな顔、もうしてほしくないな。
笑顔が戻ってくれてよかった。


