「力を貸してほしいの。最初は一人でやろうとしたけど、全然だめで、どうすればいいのかわからなかった。そうしてるうちに気づいたんだよ。
みんながいなきゃ何もできないって」
天くんが黙って口を閉じた。
私は間違っていた。私にはみんなの力が必要だった。
みんなにも気づいてほしいんだ。
男子たちはかけがえのない仲間なんだって。あの日紫苑くんが言っていたような。
「一人じゃできないことも、みんなで協力すればできるようになるんだよ。私はまた元のように戻りたい。みんなもそう思ってるはずだよ」
私はみんなを見回す。
大丈夫、みんなならわかってくれるはずだ。
静かに黙っていた楓くんがふっと息を吐いた。
「やっと僕らを頼ってくれた」
「へ?」
「さくらちゃんの頼みなら何でも聞くよ。僕はさくらちゃんの一番の味方でありたい」
彼の瞳の色が強くなった。
初めて会った時からずっと優しかった楓くん。
でも葛城くんと出会ったローズパークではすごく怒ったような顔をして、すぐに駆けつけてくれて。本当のことを話してくれた時は苦しそうだったけれど頑張って話してくれたのが伝わってきた。
今は一段と優しそうな顔で、そして強い意志を持って私を見ている。
楓くんはふわっと笑うとほかのみんなに呼びかけた。
「ねえ、みんなもいいよね? 断る理由なんかないでしょ」
天くんがうぐっと言葉に詰まった。
紫苑くんが片手であごをつまんで答える。
「私はもとから何も問題ないですよ。君たちでしょう」
わん太くんは気まずそうに目をそらす。
紫苑くんもいつだってぶれなかったな。
騒ぐみんなを見て呆れた顔をしているのが常だったけど、見守ってくれていたのを私は知ってる。
だから仲間だって思ってくれたんだよね。私のことも。
あの時はすごくうれしかったな。


