「翔も同じ日に推薦入試を受けたんだ。だけど結果は僕たちが受かってて翔は落ちちゃった。もともと勉強してたから、そのあと一般入試を受けて合格したみたいなんだけど。あの日以来、どうすることもできないほど距離ができちゃったんだ」
楓くんがちらっと私を見る。
「でも、信じてほしい。僕たちはズルなんかしてない。そこだけは譲れない」
彼は語気を強くした。
私はまっすぐに見つめ返して彼の思いを受け取る。
彼の瞳の強さが真剣さを物語っている。
楓くんは絶対にうそなんかつかない。
この二週間、毎日いろんなことがあってそのたびに男子たちをそばで見てきた。
だから私ははっきり言える。
この人たちは信頼できる人だって。
私は楓くんに向かって大きくうなずいた。
するとその時、ガチャッとリビングのドアが開いた。
「あ、紫苑。どうだった? ミケは」
紫苑くんは肩をすくめながら歩いてくる。
「ミケのやつ、ずっとゲームしてますよ。無理やり対戦させられました。結果は言いたくないですけど」
「え、ゲーム?」
私は首をかしげる。
紫苑くんはため息をつきながらドカッと座った。


