近くの公園での練習を終えてきた楓くんは相変わらずのさわやかな笑顔を見せる。
紫苑くんがミケくんの様子を見とくって言ったから一人で練習しに行ってたんだ。
彼は肩にかけたタオルで汗を拭きながら私の隣に座る。
「静かだね。みんながいないと」
楓くんは顔に苦笑いを浮かべる。
私はこくっとうなずいた。
「それ、オープンスクールの? いっぱい調べたんだね」
楓くんが目をやったのはテーブルの上の、パソコンだ。
お母さんのを借りていいアイデアがないかなって調べてたの。
だけど男子たちと葛城くんのことが気になっちゃって、全然集中できなかった。
「これは野茨学園のSNSだよ。生徒会が管理してるみたい。……あんまり投稿されてないけど」
「へー。SNSなんてあったんだ。知らなかったな」
楓くんが興味深そうにスクリーンをのぞき込む。
『四月末にオープンスクールが行われます。開場十時~。参加希望フォームは下記に』
『本日は入学式でした。入学者数、約九百名』
「う~ん、なんというか固いね」
「そうなんだよー! ほかの投稿も全部、事務連絡みたいで!」
写真も絵もなく、ただ文章が並んでいるだけ。
閲覧数は全部百未満。
こんなの、小学六年生はおろか地域の人だって野茨に行きたいとは思わないよっ!
「はあ、もうムーリー!」
ぐわっと後ろにのけぞる。


