リビングにテレビから流れる音だけが響いている。
「はあああ……」
私は力が抜けてテーブルの上に突っ伏した。
こんなに静かなのはいつも騒いでる男子たちがいないからだ。
庭だってぽつんと誰かのサッカーボールが置かれているだけだ。
葛城くんと会ったあの時から、男子たちは前までの元気をなくしちゃった。
ミケくんはかろうじて学校にはついてきてくれるけど、部活には行かずに部屋にこもるようになった。
わん太くんはまるで尻尾を下げているようにしょぼんとしていて、口数が少なくなった。朝も一緒に登校してくれなくなっちゃったんだ。
気づいた時にはもう家にいなくて。朝早くから学校に行っているみたい。
天くんも同様だ。一段とサッカーの時間が増えた気がする。
怒りの矛先を全部サッカーに向けているようだった。
紫苑くんは私の前では今まで通り接してくれている。
だけど、ふとした瞬間の彼の顔に影があるのを私は知っていた。
そして楓くんは……。
「あれ、さくらちゃん、まだ起きてたの」


