うちの訳アリ男子たちがすみません!


 私はハッと息をのんだ。

 ズルして野茨に入った?

 そうしたら……みんな推薦入試を受けたって言ってたのに、ほんとは試験をちゃんと受けずに不正してたってこと?

 あまりの衝撃さに言葉を失う。

 葛城くんは私の様子を見て満足そうにへへっと笑った。

 だって、そんなこと。簡単にできるはずがない。

 でも……?

 頭がぐるぐる回って整理がつかない。

 そんな私の横でミケくんが一歩踏み出した。

「帰ってよ。これ以上さくらに話しかけないで!」

 いつもねむけまなこな彼は目をカッと開いて大きく叫んだ。

 さすがに葛城くんもひるんだのか、さっきまでの勢いを失った。

 彼はパンッとシャツのしわを伸ばすと、ふっと息を吐いた。

「まあいいよ。今回は従ってやる。今月の試合で打ち負かしてやるから覚悟してろ」

 そう言い放つと葛城くんは私たちの横を通ってショップに戻っていった。

 楓くんが急いで私に駆け寄ってきて、心配そうに顔をのぞいてきた。

「ごめん、さくらちゃん。大丈夫? まさか翔がいるなんて思わなかった」

「いや、楓くんのせいじゃないよ。それに……」

 本気で逃げようと思えば逃げれたはずだ。

 でもそうしなかったのは、私が男子たちとの誤解を解いてあげたいと思ったから。

 みんないい人だって、優しい人なんだって気づいてほしかったからだ。

 ……それももしかしたら本当じゃないのかもしれないけど。