「葛城くんは同じサッカー部の仲間じゃないの? 一緒に頑張ってるんじゃないの?」
「ハハハッ、仲間なんてかけらも思ったことはないね。あいつらはうそつきだったんだよ。ズルして今も俺たちをだまして。最低な奴らだ。俺はあいつらが大っ嫌いだ」
うそ? ズル?
いったいなんのこと?
葛城くんがそこまで言ったところで、鋭い声が響いた。
「翔、やめろ! さくらちゃんに手を出すな」
現れたのは楓くんだ。
彼は勢いよく走ってくると、葛城くんの手を強引に私の腕から離す。
楓くんはいつになく怒ったような顔で葛城くんを目にとらえた。
「見つからないと思ったら……翔だったのか。僕たちはまだしも、さくらちゃんにまでちょっかいを出す必要はないだろ」
薄茶色の瞳がまるで燃えているようだ。キリッと眉が上がっている。
初めて見る。楓くんのこんな顔。
私は呆然としてその場に立っていることしかできない。
葛城くんは顔色一つ変えずにニヤッと笑った。
「これはこれは久宝寺じゃん。もしかしてサッカーの練習もせずに二人でおデートでしたか?」
「今、練習をしていないのはあなたも同じでしょう」
後ろから残りのみんなも集まってきた。
紫苑くんは腕を組み葛城くんを見すえている。
「のこりもの勢ぞろいってか。そうだよな、みんな揃って寮から追い出されてるもんな。いい気味だぜ」
ハハッと笑う葛城くんに突然天くんがつっかかった。
胸ぐらをつかみ彼のシャツを引っ張る。
「天くん!」
「お前は何が気に入らないんだよ! ほら吹くのもいい加減にしろ!」
「うそじゃないだろ。全て俺が見た本当のことだ! 俺はお前たちの全部が大っ嫌いなんだよ!」
二人とも同じくらいの勢いで凄んでいる。
葛城くんは天くんの手を振り払って、私に首を向けた。
「まだ何も知らないようだから言っておくよ。こいつらはズルして野茨に入ったんだ。実力なんかない。だってずっと補欠にも入れないようなのこりものだったんだからな」


