「なんでそんなこと……」
「なんでって? 全部事実なんだから、問題ないだろ。あいつらは元から、クラブののこりものだった!」
ドクンッと心臓が嫌な音を立てる。
私は胸をぎゅっと抑えた。
私、男子たちを悪く言われるのはいやだ。
私はみんなと会って二週間もたっていないけど、たくさん、みんなのこと知ってる。
いや、知ってるつもりなだけなのかもしれないけどっ!
これだけはわかる。
葛城くんが言っていることは全部違う。
こんなの、放っておくなんて、できない。
私はもう一方の手をぎゅっと力を込めて握る。
「違う、違うよ! みんなはそんな人たちじゃない! 男子たちはっ、優しくて、仲間思いで、こんな私にも仲良くしてくれて……す
っごくいい人たちだよ!」
私は顔を上げてキッと見つめる。
男子たちが来てハチャメチャな毎日だったけど、私はどうしても笑顔になってた。
それはみんながいてくれたから。
私の毎日が前よりもっとキラキラ輝くようになったんだ。
葛城くんはなおも、あざけわらうかのような顔だ。
「お前、もしかしてお友達ってやつ? ズルしても平気なあんな奴らとは一緒にいないほうがいいよ。それともお前も、能がないバカ
なの?」
葛城くんはいつまでたっても手を離してくれなかった。
もう聞きたくない。話したくない。
だけど、なんとかしたいんだ。
私ができることじゃないかもしれないけど、私が知ってるみんなのいいところに、葛城くんも気付いてほしい。


