うちの訳アリ男子たちがすみません!


「お前、あん時の」

 ん?

 顔を上げるとそこには同年代くらいの男子がいる。

 キリッとつりあがった目に、とがった耳。

 って、あ!


「葛城、くん⁉」


 廊下でぶつかりそうになった葛城くんだ!

 葛城くんは「なんで俺の名前知ってんだよ」と眉をひそめる。

 私の顔から一気に血の気が引いた。

 や、やば。私が葵から聞いてただけで、関わりはないんだった。

 ていうか、今の口調、廊下で聞いてたことバレてる⁉

「お前、誰だよ」

「さ、佐伯さくらです……。一組の」

 眉をつり上げながら問われて震えながら答えた。

 まずいよ。非常にまずいよっ!

 葛城くんは男子たちとは仲良くなさそうだし! 私が一緒に住んでるってことが知られたら、ましてや今鉢合わせしたら、最悪の事態だよ!

 葛城くんはにぃと片方の口角を上げた。

「ああ、あいつらのクラスか。『のこりもの』の」

 私の耳がぴくっと動く。

 まただ。葛城くんは男子たちのことを『のこりもの』って言う。

 なんでそんなこと言うんだろう。

 きっといい意味で言っているんじゃないはずだ。

 男子たちにはそんなことを言われるようなことをしてる風ではないのに。

 葛城くんと男子たちの間で何かあったの?

 葛城くんは不審そうな目を私に向けた。

「お前、あん時俺のこと見てたよな。もしかして、聞いてたのか?」