天くんの動きはなんだかカクカクしていて、まるでロボットみたいなダンスだ。
王子様風の服とあいまって、笑いがこみあげてくる。
「ぶはっ」
思わず私は吹き出しちゃった。
「さくら、笑うな!」
「ご、ごめん」
だっておかしいんだもん。
「最後はポーズだよ!」
わん太くんの掛け声で、みんなでギュギュッと集まる。
「ミケ、ちけーよ」
「だってぇ、そうやれって言われたもーん」
「しおしお、もっとにっこり~!」
「わんわんうるさいです」
「あ、もうすぐで曲終わっちゃうよっ!」
「みんな、ポーズして!」
楓くんの声に、私はあわてて顔の前でピースをした。
その瞬間、音楽が止まり、少しの間沈黙の時間が流れる。
『撮影は以上です。お疲れ様でした! これであなたも、インフルエンサー!』
「間に合った……んだよね?」
私たちは顔を見合わせた。
スーツやジャケット姿の面々を見て呆然とする。
「……私たち、今ヘンテコですよ」
「そうだね。みんなバラバラだ」
紫苑くんのつぶやきに楓くんが同調する。
そして、みんな一斉に笑い出した。
「あはは、おっかしい!」
わん太くんが声を出す。
天くんや紫苑くんだって、仏頂面ないつもと違ってはにかんでいる。
私はそんなみんなを見て、嬉しくなっちゃった。
みんなローズパークで楽しんでくれたみたい。
よかった!


